働き方改革により労働時間やワークライフバランス、女性の活躍などが見直しされていますが、派遣社員にも大きく影響を与えるとされています。
2017年2月から厚生労働省は「同一労働同一賃金」を実現するための検討会が開かれており、法律改正が進められています。
同一労働同一賃金にすることで、職場内の賃金格差がなくなる可能性があります。
しかし、世間はまだ「同一労働同一賃金」の意味や派遣社員にどんな影響を与えるのかという認知度は低いようです。
そこで今回は、働き方改革が派遣社員にどんな影響を与えるのかご紹介しましょう。
同一労働同一賃金とは?
派遣社員は正規社員と同じ業務をしますが、給料は正規社員よりも低い傾向があります。
これは派遣先の企業が出す給与のうち、派遣社員が得られるのは約6割であり、残りは派遣会社の利益に当てられているからです。
雇用形態の性質上、仕方がないこととは言え、賃金格差が大きいとモチベーションも下がってしまいます。
そこで、働き方改革で進められている制度が「同一労働同一賃金」です。
これは正規社員・非正規社員問わず、同じの労働をしている場合は均等な賃金を支払うという考え方です。
欧州では広まっている制度であり、日本でも積極的な議論が交わされています。
欧州の場合は「企業間」の格差を解消するために、同一労働同一賃金の考え方が広まっているようです。
その利点は、職種ごとに賃金とスキルの関係性が見えることでしょう。
一方、日本の考え方は「企業内」の格差を改善する提案がされています。
企業内の格差をなくすことで、正社員と派遣社員の賃金格差がほとんどなくなるというわけです。
ただ、派遣は経験やキャリアが積み重ねられていく労働形態であるため、欧州タイプの方が利点は大きいという意見もあります。
適応されるのは派遣先なのか、派遣会社なのか
派遣社員の場合、斡旋する派遣会社と派遣先の企業が雇用主となります。
働き方改革で同一労働賃金制度が正式に決まった場合、派遣社員もしくは派遣先の企業に適用しなければなりません。
現時点ではどちらに適用するのかは決まっておらず、議論されています。
派遣会社の場合
派遣会社で同一労働同一賃金を適用する場合、派遣会社で同じ業務を行う正社員の給与をベースに、派遣社員も同様の給与が適用されます。
例えば、営業や一般事務の正社員がいる場合は、その労働者と同額の給与が事務系や営業系で働く派遣社員に与えられます。
社内に正社員がいない職種に関しては、その職種で派遣される社員の給与が基準となります。
給与基準が派遣会社に依存するため、給与基準の高いところに登録すれば高収入が見込めるでしょう。
その一方で、複数の派遣会社に登録し、条件の良い会社にその都度契約を変更する人が現れる可能性を懸念されています。
派遣先の企業の場合
派遣先の企業に適用される場合は、そこで働く正社員の給与がベースとなります。
高時給の企業を選べば収入アップを見込めます。
しかし、スキルアップしても契約が終了して派遣先が変更になった場合は、新しい職場の水準が反映されるので、給与が下がる可能性もあります。
そうなるとキャリアやスキルアップを目指さず、同じ企業で働き続けたいと考える人が増え、キャリアアップの機会を奪ってしまうことも考えられるでしょう。
派遣社員は職種や職場などを選んで働けますが、その分、正社員と賃金格差が不満要素になっていました。
働き方改革として提案された同一労働同一賃金が適用されれば、格差への不満は軽減されるでしょう。
また、派遣会社または派遣先の企業の給与がベースとなるので、交通費やボーナスが支払われる可能性もあります。
実現にはまだまだ課題が残されていますが、派遣社員として働きやすい環境に改善されることを期待しましょう。
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投稿日:2019年09月24日
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