近年多くの企業で働き方改革への取り組みが進められていますが、一般的な企業とは異なる医療業界でも同様に働き方改革が推奨されています。
しかし、現状を踏まえて医師・看護師の働き方改革を実行に移すのはとても大変なことだと言われています。
なぜ、医療業界では働き方改革に向けた取り組みが難しいのでしょう?
今回は、医療業界での働き方改革についてご紹介していきます。
医師・看護師の長時間労働が問題になっている
数年前からニュースなどではブラック企業による長時間労働で過労死してしまった事例を取り上げられることもありますが、こうした長時間労働はブラック企業だけで起きているわけではありません。
医療業界においても医師・看護師の長時間労働が問題になっているのです。
厚生労働省の「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」によると、20代男性の常勤医師は当直やオンコール(緊急呼び出し)による待機時間も含め、1週間で平均76.1時間の勤務になると言われています。
24時間救急体制をとっている病院であればいかなる時でも迅速に対応しなくてはならないため、心も体も休まらない状態が続いてしまうかもしれません。
また、近年は医師・看護師の人手不足も深刻化しており、年次有給休暇取得率が低下していること、人手不足による1人あたりの過重労働が増えていることなども長時間労働における課題として取り上げられます。
医療業界で働き方改革を実行するのが難しい理由
医師・看護師の長時間労働が改善されることで人手不足の解消などにつながる可能性も高いのですが、病院側が簡単に働き方改革を実行できないのには理由があります。
例えば、超過勤務が決められてしまった場合、救急患者の受け入れが制限されてしまったり、外来診療の時間を縮小しなくてはいけない状況になったりします。
病院側はもちろんですが、患者側からしてもすぐに診療してもらえないことになってしまうので、デメリットにつながります。
救急患者の場合は命にも関わってしまうため、病院側は働き方改革を進めたくてもどのように対処していけばいいのか分からない状態でもあるのです。
そのため、医療業界ではなかなか働き方改革が進んでいない状況が続いていると考えられます。
医師・看護師が働きやすい環境を作るためには?
働き方改革を無理に進めようとして労働時間の上限を設けたとしても、現場でうまく機能することは少ないと言えます。
また、時間を縛ってしまうことによって今後スキルアップ・キャリアアップを望んでいる医師にとっては不利益を被ってしまう可能性もあるでしょう。
だからと言って医師や看護師だけ長時間労働に目を瞑ってしまえば、さらなる人手不足を招いてしまう可能性も考えられます。
では、病院側はどのように対応していくべきなのでしょうか?
まず、病院経営者や現場の医師や看護師など、全ての職員に対して意識改革を実施し、昔から存在する組織の風土を変えていく必要があります。
病院では労働時間が曖昧で、各診療科の責任者がどれだけ残業しているのかを把握していないケースも多く見られます。
そこで、一度その実態を把握することでどこに問題があるのか、何をすれば問題改善につながるのかが見えてくるでしょう。
ある病院ではそういった長時間労働について把握していませんでしたが、医師や看護師の時間を見直し、これまで曖昧だった勤怠管理はICカードを導入することによって労働時間の抑制につながった事例もあります。
また、医師や看護師が働きやすいように様々な勤務形態を用意することで、働きやすさに加えて人材確保の効果も期待できます。
現場で働いている人自身が自分に合った形態を選ぶことで、働きやすい病院へと変えることができるのです。
医療業界の働き方改革について政府では検討会を開催しており、まだ話し合いが続いている状態です。
医療業界の働き方改革は難しいと言われていますが、病院全体での意識を変えること、そして現場で働いている人が働きやすく選べる環境を作ることで長時間労働の問題も改善していくと考えられます。
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投稿日:2019年01月07日
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